同性の女の子と付き合ったときの話です。付き合った経緯などは以下の記事をご覧ください。
この記事に書けなかったことをこちらの記事で書きたいと思います。重複するところも出てくると思いますが、悪しからず。
【女×女】付き合う前のわたしたちの関係
付き合う前から彼女と遊ぶ場所はどちらかの家ばかり。二人きりになりたい、と二人が自然に思っていたからだと思います。
わたしたちは女同士、はじめは普通の友達でした。七人グループの内の二人がわたしたち。
でも親友という感じはしませんでした。一番仲がいいけど、親友のそれとは違う。
付き合う前からお互い普通の友達とはなんか違うな、とは感じ取っていたように思います。
【女×女】付き合った日のこと
二人の関係が変わった日。
その日はいつものように二人で遊んでいました。場所はわたしの家(実家)でした。
夕方になって部屋が薄暗くなってきて、電気をつけるかどうかという時間帯。
お互い面と向かって無言の時が過ぎる。

キスしてみる?
と聞かれ、

うん。
と頷くわたし。
お互いのファーストキスでした。

顔、どっちに傾ける?
なんて言ってムードも何もなかったけど。
ファーストキスっぽいぎこちないキスをしました。触れる程度の軽いキス。
その後、また沈黙が流れました。
ところが沈黙とは裏腹にわたしの頭の中はパニックです。

あれ?いまキスしたよね?女の子とキスした。しかもファーストキス。わたし女の子好きになったことないのに…ん?好きとかじゃないのかな。なんだろう、この気持ち。男の子を好きになるときと似ているような似ていないような…よく分からない感覚。
あわあわと頭の中に言葉が溢れ、でもそれを口にするのはどうかと思って。
ちょっと落ち着くと、人には言えない悪いことをした気分になってきました。
どれくらい沈黙が続いたか分かりません。なんせわたしは自分の感情が言葉になって頭でいっぱいでしたから。
沈黙を遮るように彼女は静かに言いました。

付き合ってほしい。

何言ってるの?!冗談だよね?無理だよ。

おかしいよね、女の子が好きって。でも…好きなんだ。だからもし同じ気持ちなら考えてほしい。
彼女は泣いていました。
その涙を見て彼女が本気だということ、わたしの彼女に対する気持ちは勘違いではないことを受け入れました。
これは、男性に対する「好き」と同じ感情だ。
自分の気持ちを認めるのがこわかったです。

わたしはレズなのか。もう男性を好きにはならないのか。これからどうしたらいいのだろう。
当時、LGBTQの言葉はほとんど聞いたことがありませんでした。
女の子が女の子を好きになるのがレズ、男だったらゲイ、あと性同一性障害というものがあること。
それくらいの知識しかなくて、特に意味もなく偏見もありました。うーん、偏見っていうのかな?
否定する気なんてないけど周りに当てはまる子がいなかったので、別次元のことだと思っていました。
それが突然自分のことに。
戸惑いながらも女の子とのお付き合いがはじまりました。
【真実】彼女はFTMだということが分かる
ここからは上の記事で書かなかったことを書きます。
「女の子と付き合った」とここまで書いていますが、実のところ、この子は性同一性障害でした。
FTM(Female to Male)と言って、体は女性で心は男性の子でした。
金八先生の上戸彩って言ったら分かりやすいですかね。わたしは当時リアルタイムでドラマを見ていませんでした。それでもなんとなく情報が入ってくるくらい当時話題になりましたよね。
性同一性障害であることは付き合っている途中で発覚しました。二年付き合ったのですが、性同一性障害と分かったのは割と最初の方でした。

男になりたい。
彼女、いや彼は(以下、彼と呼びます)そう言いました。
二人とも性同一性障害について知識がなかったので、市立図書館に行きました。携帯も持っていましたが、調べ物に使う習慣はあの頃それほどなくて。
図書館で本を探して読みました。でもなんだか難しい本ばかり。いまなら口語調や漫画でLGBTQに関連する本などありそうですよね。
当時もあったのかもしれないけど、わたしたちには見つけられませんでした。
本を読んで分かったことは、女性から男性に戸籍を変更するためには二つ手術を済ませるということ。
※改めて調べてみるとこの解釈は間違っていそうです。当時のわたしたちの理解です。
そして彼は自分の両親に打ち明けることに。
彼の口から聞いた親の反応は、驚いていたけどどこかで「やっぱり?」と思っていたところもあったそう。
彼は手術するまで、胸にサラシのようなものを巻いて生活していました。(ナベシャツと言ったらいいのでしょうか?)
タイガーなんとか、という商品だった記憶が微かにあります。これは休日の話。
平日の学校があるときは、高校の制服であるスカートを履いていました。襟元にはリボンもして。
他校は女子でもズボン、ネクタイを選択できるところもあって彼はとても羨ましそうでした。
【FTM×女】夜の話
夜の話も少し。
彼は自分の体が大嫌いでした。胸があること、下半身のつくりが女性であること。
そのため、彼との夜については…簡単に言うといつも中途半端なところで終わりました。

まず、わたしサイドの話からすると。
わたしが好きになるのは男性です。後にも先にも女性が好きになったのはこの記事で書いている子だけでした。(後々FTMと判明しましたが、好きになった時点では女の子の認識があった)
彼がFTMと判明したからと言って性的指向は男性のまま変わりませんでした。言い換えると、性的指向が女性に向かなったということです。(女性の体に興味がない)
そのため、いい雰囲気になったからと言って彼(身体は女性)の身体を触りたいという気持ちになりませんでした。
なんというか…触れたいという気持ちはあったのですが。エッチなこととは結びつかないというか。

次は彼サイドからの話。
先述しましたが、彼は自分の身体が嫌いでした。学校以外のときは胸にさらしのようなものを巻いて生活していたくらいです。
自分の身体を見たくない、気持ち悪い、自分の身体ではないみたい。こんな感覚があると話してくれました。
そのため、自分でも認めたくない身体を他人(彼女であるわたし)に見せたくないと強く思っていたそうです。
二年ほど付き合っていましたが彼の身体を見たことは一度もありませんでした。
じゃあ何をしていたかというと…
ひたすらキス。あとはわたしが満足させてもらって…これ以上はご想像にお任せします。
FTMの彼のその後
わたしたちは二年ほどで別れを迎えます。別れた理由などは以下の記事をご覧ください。
わたしは彼と別れた後、女の子やFTMの子を好きになることはなくいまに至ります。
彼はわたしと別れた後、手術を海外で受けました。胸のふくらみを切除して、女性器の機能を取り除きました。
男性器はつくらなかったそうです。男性器をつくることも病院から提案されたようですが、ちゃんと管理しないと(特別な手入れとかあるのかな?ちょっと詳しくは分かりません)壊死してしまうなどのリスクがあるそうで。
手術後は戸籍上の性を女→男に変え、それに伴い改名しました。彼の両親が新しくつけてくれたそうです。
ちなみに元の名前は男女兼用できそうな「ひかる」「つばさ」のようなものではありませんでした。
むしろいかにも女の子らしい名前で「なつみ」「かな」のような感じでした。そのため、新しい名前をつけてもらってとても嬉しかったそうです。
嬉しかった「そう」です、というのもわたしは彼と別れてから個別で連絡を取ったことが一度もありません。
そのため彼の近況は共通の友達から聞いていました。冒頭でも書きましたが、わたしたちは仲良しグループの七人中の二人です。グループの子が結婚するたびに顔を合わせています。
会うと世間話はしますが、付き合っていた当時のことを二人で話すことはありません。
彼が彼自身の望む男らしさを付けてきていて毎回会うのが嬉しいのはわたしだけの内緒の気持ち。
でももう仲良しグループの子たちも一人を残してみんな結婚しました。つまり、もうあと一回しか彼に会うことはなさそうです。
ちょっと寂しいですが…元彼と連絡を意図的に取るのは既婚者としてどうかと思うので、きっと彼とはこれっきりになります。
人を好きになるのに性別は関係ない
ちょっと話がややこしかったかもしれません。「性」の観点からわたしたち二人をまとめます。
わたし:戸籍上(女)、性的自認(女)、性的指向(基本的に男)
彼:戸籍上(女→手術後に男)、性的自認(男)、性的指向(女)
こんなところでしょうか。
まとめてみたものの、人を好きになるのに性別は関係ありません。
わたしは基本的には男性が好きです。でも今回のように性別を超えて人間を好きになることがありました。
「人間」と書いたのは、相手を性別で見ていなかったからです。女性を好きになったわけでなく、その子自身を好きになりました。
あえて言うなら、彼のことは女の子の認識がある上で好きになりました。FTMだったことから分かるように、見た目は男らしい女の子だったわけですが。

まわりくどく書きましたが、雑に言ってしまうと何でもいいのです性別なんて。
戸籍上の男女があるのは事実ですし、体のつくりも違うのも事実。脳のつくりも違うっていいますよね。
でも彼のようなFTMもいれば、反対にMTF(Male to Female)だっています。
もっと言えば、男女どちらにも属さないと考える性自認のないXジェンダーの人もいます。
だから、恋愛において男女の二択で考えるのは無理があります。
とはいえ、大多数の人は身体と心が男女のどちらかで統一されていて異性を好きになります。
そのため、ここの恋愛ブログでも男性目線、女性目線、彼氏、彼女、などの言葉を使って大多数が読みやすいようにしています。
そこに偏見がないことを、ご理解いただけると幸いです。