大きな手
同じところにホクロがあるね
中指を触りながら言い合ったね
運命かもしれない なんて言いながら
その大きな手で
優しく頭を撫でてもらえるのが好きだった
大事に 大事にしてくれた
彼は自分の手の形が嫌いと言ったけど
わたしにとっては世界一好きな手だった
得意な料理をつくってくれたこともあったね
なんでもできる 彼の大きな手
いまは わたしじゃないあの人を
あの人たちを守る大きな手
もうわたしは触れられない
もう少し いやこの先ずっと
彼の大きな手をひとりじめしたかった
覚えてるかな?
おそろいの中指のホクロ
わたしのはもう消えてなくなりそうだよ
運命かもしれない
その言葉とともに 消えていく