デートDVとは、恋愛関係におけるDV=支配関係のことです。(略)通常DVといわれると夫婦のあいだで起こることと認識されているので、恋愛関係でもDVがあるということを示すため、あえて区別して「デートDV」と呼んでいます。
この本を読んでドキッとするのはわたしだけではないはずです。
わたし自身、過去にDV(ストーカー)の被害者になったことがあります。
それもあって自分が加害者になったこと、これからなる可能性、なんてあるはずがないと思っていました。
でも、この本を読んでわかりました。

わたしはDVをしたことがある。(嫉妬の類です、後述します)
そして同時に、わたしの周りにはDV被害者も加害者(予備軍含む)もたくさんいると感じました。
DVの種類や程度は多岐にわたる
DVと一口に言っても、種類や程度は多岐にわたります。なぜならDVは双方の関係性や受け取り手の感覚によって様々だからです。
たとえば「一生一緒だよ」という言葉。これを愛情表現と受け取ることもあれば、怖いと感じることもあります。
いじめ問題のときによく言われますよね。「相手が嫌だと思ったらいじめ」DVでも同じことが言えます。
当書ではDVや嫉妬などのレベルが図で示されているます。人によって受け取る感覚は違うので“グレーゾーン”があると表現されています。
先程例に挙げた「一生一緒だよ」という言葉。これはAさんにとってはDVでもBさんにとっては嬉しい言葉なわけです。
グレーゾーンだからいいとか、レベルが低い(DVとして)からセーフというわけではありません。
少しでも当てはまるものがあれば、DV加害者もしくは被害者になり得るということを認識しなければなりません。

そうそう、たくさんの人の経験談(著者に対してのお手紙形式)も載っているので、本の内容の理解がスルスルと進みます。
DVかどうかの判断は、以下が基準になります。
相手の「安全・自信・自由・成長」を奪うことがDV
あなた(もしくは他人からあなたに向けて)の言動や態度、行動が「安全・自信・自由・成長」を奪うようであればDVです。
DVを予防するための考え方「シングル単位」
DVを予防するには考え方を変える必要があります。カップル単位からシングル単位にすべて置き換えるのです。
- カップル単位:交際相手は自分と一体の特別な存在
- シングル単位:相手は相手、自分は自分
カップル単位はヘビ飲み込み型、シングル単位はハリネズミ型とも表現されていました。
恋愛に依存するとカップル単位の考え方になりがちです。依存は実はラクな手段なのです。恋愛のことだけを考え、相手に集中しているだけでいいわけですから。
でもそれは自分よがりな考え方です。なぜなら依存や束縛の程度によっては相手の「安全・自信・自由・成長」を妨げることになるからです。

彼氏から連絡が来ない!何してるんだろう、追いLINEしよう。

彼女の予定を全部把握したい。彼氏だから当然の権利。
こういう風に考えている方、そして実際に相手に自分の感情を押し付けている方はDV加害者になりえます。
カップルであろうと相手の行動をコントロールすることはできません。監視することもできません。
自分の思い通りにいかないとイライラする、居てもたってもいられない。こういう方はDV予備軍といえます。
相手が自分を好きになるかどうかは、相手があなたを見て決めることです。好きになってもらいたいならどんな自分であるべきか考えた方がいいでしょう。
束縛、嫉妬はDVです
相手が自分から離れる(フラれる)ということが過剰に怖くなります。自分の生きがいも幸せも、すべて相手にかかっているからです。
これは嫉妬にとらわれた人の背景意識です。これでは自立の「じ」の字もありません。不健全な考え方であり、本当の意味で自分を豊かにしません。

連絡ないと寂しいよ~
と軽く言うくらいなら問題ありません。お互いの中で冗談が通じる中であればいいのです。

シングル単位の考え方を忘れてはいけませんよ。
嫉妬されたら嬉しいはず、二人はいつでも一緒。これはカップル単位の考え方でしたね。
カップルであれ夫婦であれ、常にシングル単位で考えることを忘れずに間違った「ふつうの恋愛観」を押し付けないことが大切です。
学生時代のわたしは嫉妬が強い人でした。1ヶ月単位で相手の予定を先に知っておきたい、いま何しているかしりたい、そんな具合でした。
相手が当時どう思っていたか今は知る由はありません。でも浮気されて別れたので、そういうことだったのでしょう。
「ふつうの恋愛観」から脱却せよ
著者は学生向けにデートDVの講義をしてシングル単位の考え方やDVについての知識を広める活動をしています。
講義に出席することは難しくても、本格的な恋愛をする前にこの本を読んでおくことはとても大事だと思いました。
そして、学生ではなく社会人になった方にも個人的には一読してほしいです。
あなたの行動、言動はDVかもしれません。「知らなかった」ではいけないのです。
加害者、被害者になる前に、この本が一人でも多くの方に届きますように。